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交通事故被害相談@松戸

交通事故の示談交渉で知っておくべき7つのこと

  • 文責:所長 弁護士 山澤智昭
  • 最終更新日:2025年1月7日

1 示談交渉は治療が終了(症状固定)してから始める

⑴ 治療費等に関する損害賠償金額が確定する時期

交通事故により物損のみが生じた場合には、交通事故の直後から交渉を始めても問題ない(ただし、後から症状が出る場合もあるため、しばらく様子を見てからにした方がよい)ですが、負傷してしまった場合は、治療が終了してから示談交渉をした方がよいといえます。

というのも、負傷の治療に要した入院費や通院費等の治療費および交通費等は損害賠償として請求することができますが、この治療費等については、治療が終了してからではないと金額が確定しないため、治療が終了してから示談交渉を開始する必要があるといえるからです。

また、相手方や相手方の保険会社からは、早く示談をしたいと言われることや、通院を打ち切るよう言われることがありますが、完治または症状固定するまでは治療を続け、医者が完治または症状固定したと判断するまでは示談を行わないよう注意する必要があります。

⑵ 後遺障害に関する損害賠償金額について

さらに、後遺障害が残るほどの大きな負傷を負ってしまった場合には、後遺障害に応じた損害賠償を請求することができます。

この後遺障害は、症状が固定した後に後遺障害の等級及びその等級に応じた労働能力の喪失割合が認定され、そこから逸失利益(労働能力を喪失していなければ得られたはずの利益)が算定されることになります。

後遺障害が確定する前に示談をすると、本来後遺障害により支払われるべき逸失利益等の損害賠償金額よりも低い金額で示談をしてしまう可能性があり、後から後遺障害が判明したとしてもその後遺障害に応じた損害賠償を請求することができなくなってしまうことになりかねません。

そのため、後遺障害に関する損賠賠償についても、後遺障害の等級が認定されてから示談交渉に臨んだ方がよいでしょう。

2 慰謝料算定の基準

症状が固定し、示談交渉をスタートさせた場合、治療費については比較的明確にかかった金額が算出できると考えられますが、慰謝料についてはいくら請求することができるのか、必ずしも明確ではなく、何となくの感覚で示談をしてしまうと支払われるべき慰謝料を支払ってもらえなくなってしまう可能性があります。

しかし、慰謝料を算出は、客観的な基準に基づいてなされることとされております。

ただ、この基準についても複数の種類があるため、どの基準に則って交渉を進めるのかも注意する必要があります。

慰謝料を算出するための基準は大きく分けて3つあり、①自賠責基準、②任意保険基準、③弁護士(裁判)基準があります。

⑴ 自賠責基準

自賠責基準とは、自動車損害賠償責任保険において国が定めた支払い基準です。

しかし、この基準は被害者に必要最低限の損害賠償を支払うというものであるため、この基準を用いることは被害者にとって適切ではないことが多いです。

⑵ 任意保険基準

任意保険は、上記の自賠責保険では補填しきれない損害を補償するための保険です。

これはそれぞれの保険会社が独自に設定しているものであり、公開もされていないため、被害者側でこの基準を使って金額を算定することは困難です。

また、保険会社は示談金を支払う立場にあることから、その基準は低く設定されていることが多いと考えられ、被害者の立場からはこの基準に従って交渉を進めることは得策ではないと考えられます。

⑶ 弁護士(裁判)基準

弁護士(裁判)基準は、日弁連交通事故センターが発刊している「民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準」という本(通称「赤い本」)に掲載されている損害賠償基準のことを指しています。

この基準は、裁判になった場合に一つの客観的な基準として用いられていることからも、合理的・客観的な基準であり、また、上記①②の基準よりも損害賠償金額が高く設定されていると考えられます。

そのため、被害者が示談交渉を進めるにあたっては、この弁護士(裁判)基準をもとに進めた方がよいですが、被害者個人の方がこの基準を用いて交渉をすることは難しいです。

そのため、弁護士に依頼する等して、この基準を用いて交渉にあたってもらうことをおすすめします。

3 医師に診断書等をしっかりと作成してもらう

交通事故により負傷した場合、その負傷の内容を客観的に証明してくれる資料としては、医師の診断書やカルテ等が非常に大きな役割を担うことになります。

そのため、自らの症状について漏れなくしっかりと医師に伝え、カルテへの明確な記載や診断書の作成もしてもらうことをおすすめします。

また、後遺障害の等級認定をする際には、主治医が作成した後遺障害診断書が主要な判断資料となるため、この後遺障害診断書に詳細に症状等について記載してくれているか確認した方がよいです。

曖昧な記載にとどまっていた場合には不本意な後遺障害が認定されてしまうこともあるため、この点は注意する必要があります。

4 損害の項目に漏れがないように注意する

交通事故に遭った場合に請求し得る損害としては複数の項目が考えられます。

下に主な損害項目を挙げますので、参考にしていただければと思います。

ただ、被害者個人の方が全ての損害項目を把握して交渉をすることが困難な場合もありますので、その際には、弁護士への相談や依頼についても検討いただければと思います。

・治療費(通院費、入院費、交通費などを含む)

・葬儀関係費用(死亡してしまった場合)

・物損

・休業損害(主婦の方でも請求することができます)

・逸失利益(後遺障害により労働能力が喪失、低下するなどし、将来得られるべき利益が減ってしまった場合等に、その利益相当額を請求することができます)

・慰謝料

・その他交通事故と因果関係が認められる損害(弁護士等の専門家にご相談して損害の範囲に含まれるか検討することをすすめします)

5 後遺障害等級認定の申請方法

⑴ 事前認定と被害者請求という2つの方法がある

交通事故に遭った結果後遺障害が残ってしまった場合、その後遺障害がどれほど重いものなのか、等級が認定されることになります。

この認定を申請する方法として、①事前認定という手続きと、②被害者請求という2つの方法があります。

以下、それぞれのメリット、デメリットについて概要を説明します。

⑵ 事前認定

事前認定は、加害者が加入している自賠責保険の保険会社に対して、加害者から申請をしてもらうものです。

そのため、被害者の方が自ら手続きを行う必要はなく、被害者としては楽に等級認定をしてもらえるという点にメリットがあるといえます。

また、自賠責保険分と任意保険分の損害賠償を一括で受けられることが多い点や、申請に必要な資料(MRIやレントゲン写真なども含む)の取得に必要な費用も負担してもらえる点もメリットとして挙げられます。

デメリットとしては、保険金の支払いに示談の成立が条件とされているため、認定された後遺障害に納得がいかず異議を申立てたりした場合や、加害者側に誠意がなく示談交渉が進まない場合等、示談が成立しない間は保険金が支払われないこととなってしまい、その間の補償を受けられなくなってしまう点が挙げられます。

⑶ 被害者請求

被害者請求について、メリットとしては、示談成立前にも等級に応じた保険金を支払ってもらえるため、示談成立までの補償を受けられ、交渉にあたっての弁護士費用に充てること等もできる点が挙げられます。

また、被害者請求においては、自ら認定に有利と考えられる資料を提出することができ、納得のいく等級が認定されやすいという点も挙げられます。

デメリットとしては、事前認定のメリットの裏返しになりますが、自ら煩雑な手続きを行わなければならない点が挙げられます。

そのため、被害者請求を行う場合には、その手続きを任せられる弁護士に依頼する方が多いと思われます。

6 示談成立後に追加の請求は原則としてできないこと

いよいよ示談交渉がまとまり、示談成立となった場合には、示談書を作成することとなります。

示談書においては、通常、示談書に記載されているもの以外は加害者及び被害者は相互に何らの債権債務(権利義務)関係がないことを確認するという記載(「清算条項」と呼ばれています)がされることになります。

そのため、示談の後に、示談書に書き忘れていた損害や、新たに後遺障害が判明した場合でも、追加で請求することは原則としてできないことに注意する必要があります。

この点からも、症状が固定し、障害等級が確定してから示談を成立させた方がよいといえるでしょう。

7 消滅時効があること

不法行為に基づく損害賠償請求の消滅時効は、原則として事故日から3年間とされています(民法724条参照)。

もっとも、後遺障害が残ってしまった場合等については、症状が固定するまでは損害額が確定しないため、症状固定日がこの消滅時効の起算点になると考えられています。

ただし、物損については原則通り事故日が起算点となると考えられるため、症状固定するまでに時間がかかりそうな場合は、物損について先に示談してしまうことも考えられます。

物損について先に示談をする場合は、上記の清算条項を設けてしまうとその他の損害を請求することができなくなってしまうため、清算条項を設けないように注意し、逆に物損以外の損害賠償については存続していることを確認する旨の規定を設けた方が安全といえます。

8 交通事故の示談交渉でお悩みなら当法人へ

交通事故の示談交渉をするにあたって知っておくべき7つのポイントをご紹介いたしました。

実際に交渉にあたる場合には、上記のポイントを念頭において交渉を進め、適宜弁護士等の専門家からアドバイスをもらって行えば、納得のいく示談を成立させることができる可能性が高まりますので、参考にしていただければ幸いです。

当法人は、多くの交通事故案件につきまして、被害者の方が納得できる形で示談を成立させてきました。

実績豊富な弁護士が多数在籍しておりますので、安心して当法人にご相談ください。

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