後遺障害について
後遺障害申請をする場合の示談交渉の主な流れについて
1 後遺障害の等級認定がされてから示談交渉をします

後遺障害申請をする場合、後遺障害に該当するかの結果が出てから、具体的な示談交渉に移ります。
後遺障害は治療が終了したときに残存するものですから、まず治療を一旦終了する必要があります。
そして、交通事故の後遺障害は損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所において等級の認定を受ける必要があります。
等級認定の後、各等級に応じた後遺障害慰謝料等が獲得できるか決まります。
これらを踏まえると、以下のような流れになります。
①交通事故発生・治療開始
↓
②相当な期間治療・治療終了
↓
③医師に後遺障害診断書を作成してもらう
↓
④後遺障害診断書を自賠責調査事務所が判断
↓
⑤後遺障害等級の認定または非該当
↓
⑥後遺障害の結果を踏まえた示談交渉
↓
⑦賠償金獲得・解決
2 後遺障害申請をすると示談が遅くなる?
後遺障害の申請をする場合、申請をしない場合と比べて、最終的な解決は遅くなります。
これは後遺障害の申請から認定まで1~3か月くらい時間がかかるからです。
後遺障害等級は1級から14級まであり、このどれに該当するかによって保険会社が賠償する金額が変わります。
したがって、まだ後遺障害の結果が出ていないと、具体的な賠償額を決めることができないため、どうしても具体的な示談交渉は後遺障害の結果が出てからになります。
3 早く示談をするために後遺障害申請はしないほうが良い?
これについては、そうとは言えません。
例えば医師も被害者の方も両者とも完全に治ったとお考えでしたら後遺障害の申請は不要ですが、6か月程度治療をしても、まだ痛みが残っている場合、医師に後遺障害診断書を作成してもらい、後遺障害の申請をしたほうが良いかもしれません。
そうしないと、後遺障害の認定を受けられる機会がなくなってしまいます。
痛みが残っている場合は、後遺障害の申請を検討してみてください。示談交渉と最終的な解決は遅くなるかもしれませんが、納得した解決につながります。
4 損害保険料率算出機構の自賠責損害調査事務所
交通事故によってお怪我を負った場合、相当な治療を経ても、完全に治らず、これ以上治療効果が認められない状態になる場合があります(この状態を「症状固定」と言います)。
この時、将来的に体が元通りにならず、怪我が残ってしまうため、事故の加害者は、被害者の後遺障害に対して賠償する必要があります。
後遺障害かどうかの認定は、交通事故の怪我に対して治療を行った医師ではなく、公正中立な立場から自賠責損害調査事務所が行います。
したがって、被害者の方が「これは絶対後遺障害だ」と思った場合でも、後遺障害として認定されない場合があります。
示談交渉が遅くなっただけで賠償金額が変わらない場合もありますが、怪我の痛みが残っている場合は後遺障害の申請を検討した方が良いです。
後遺障害の等級認定について
1 後遺障害

後遺障害で件数的に一番多いのは、むちうち症案件です。
むち打ち症とは、首や腰に痛みやシビレ等の神経症状がでていることをいいます。
その他にも、手足の関節の可動域が、もう一方の手足の関節の可動域と比べて、狭まってしまった場合には、可動域制限についての後遺障害が残ったと表現します。
ほかには、脳挫傷等により、脳にダメージをおい、認知機能や行動、性格等に変化がでてしまうような高次脳機能障害という後遺障害もあります。
また、顔などに傷が残ってしまう外貌醜状といった後遺障害もあります。
さらに、胸椎や腰椎の骨折で圧迫骨折という後遺障害もあります。
2 後遺症と後遺障害の違い
あくまでも、交通事故の賠償実務のなかでのイメージですが、「後遺症」は、事故前と比べて、何らかの症状が残ってしまった場合を意味し、「後遺障害」とは、後遺症のなかでも、自賠責の等級認定基準に該当するほどのレベルに達している後遺症を後遺障害と区別していることが多いのですが、厳密に使い分けられているわけでもありません。
3 後遺障害等級が認定されるまでには
⑴ 症状固定と診断される必要がある
交通事故により、治療を一定期間続けると、完治するか、それとも完治せずに、これ以上は治療しても症状はよくならないという状態の症状固定と診断される時期がきます。
症状固定とならなければ、後遺障害診断書は通常記入してもらえないため、後遺障害申請もできません。
⑵ 症状固定までの時期
症状固定までの時期については、大半の後遺障害については、最低でも事故から半年以上たってから症状固定と診断されなければ、初回の後遺障害等級認定は難しいといえます。
もし、半年未満で症状固定となった場合には、しばらく通院を続けて、再度診断書を記入してもらう必要があります。
4 後遺障害等級認定の賠償金
後遺障害の等級が認定されますと、後遺障害慰謝料、後遺障害逸失利益の賠償項目が追加されます。
後遺障害部分の賠償金は、最低でも数百万円以上となりますので、適切な賠償金を獲得するためには、妥当な後遺障害等級認定がなされることが必要なのはいうまでもありません。





























